タンザニア国でスマートフォンを使った助産師教育を京都大学と共同で実証研究実施

 世界レベルの衛生基準と助産に関する知識を学ぶことで、安全な助産の増加を目指す

キャスタリア株式会社(代表取締役:山脇智志、本店:長野県塩尻市、本社:東京都港区、以下「キャスタリア」)は京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 家族看護学母性看護・助産学の新福洋子(しんぷく・ようこ)准教授(当時、2020年3月より広島大学大学院医系科学研究科国際保健看護学教授)と共同でタンザニアでの助産師向け教育プロジェクトにおいてモバイルラーニングプラットフォームGoocus(呼称グーカス)を利用した同国の助産師向けのモバイルラーニングの実証研究を実施しました。専用のアプリにWHO最新の出産ガイドラインを始めとする助産知識を搭載し助産師の知識習得を実現、同国で課題となっている高い妊産婦の死亡率改善を目指しています。尚、本プロジェクトの詳細については2021年2月に開催される日本遠隔医療学会にて新福洋子教授の講演で発表予定です。


このプロジェクトは京都大学の研究大学強化促進事業SPIRITSの一環として2019年4月より開始され、WHOの衛生基準と最新の出産ガイドラインを始めとする助産知識を、アフリカのコンテクストに合わせたイラストやスワヒリ語動画で作成しアプリに搭載、助産師の知識習得を実現することで同国で課題となっている妊産婦の高い死亡率改善を目指しています。これにより学習前後での意識の違いや知識の習熟度を数値で比較できる他、助産師コミュニティをアプリ上に形成し、各々の助産経験ならびに伝統産婆技術の共有およびタンザニア人ならではの文化や視点で繰り広げられる議論を分析することで、把握することが困難な助産実践の調査が可能となります。


2020年2月にダルエスサラーム市内の中級病院にて助産師24名を対象にアプリの操作方法をレクチャー後、約2か月間にわたり助産師達の自立学習をサポートしました。元々学習ニーズがあったことやSNS機能としても活用でき、これまではなかなか助産師だけでは解決できなかったことも気軽に相談できたり、コミュニケーションを取りながら学習を促したことなどが起因し、学習継続率が90%とアフリカでの自立学習ではとても高い数値となりました。


今後は対象の病院・助産師を拡大し助産師教育アプリをタンザニア国内に普及を目指して参ります。


助産師教育アプリ画面


タンザニア・ダルエスサラーム市における助産師たち


スマートフォンで自立学習する助産師


■新福洋子氏 略歴

広島大学大学院医系科学研究科国際保健看護学教授。

聖路加看護大学(当時)を卒業、助産師として勤務後にイリノイ大学シカゴ校大学院看護学研究科を修了(博士)。2011年世界保健機関東南アジア地域事務局インターン、2012年聖路加国際大学助教。2012年第一回「明日の象徴」看護・保健部門受賞、2014年、15年秋篠宮紀子妃殿下ご進講。2017年日本学術会議若手アカデミー23期特任連携会員、同24期副代表、国際分科会委員長。2018年日本学術会議科学者委員会男女共同参画分科会委員。世界で200名の若手科学者団体、Global Young Academyメンバー、同執行委員にも選出。2018年京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻家族看護学講座准教授。2020年広島大学大学院医系科学研究科国際保健看護学教授。

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